- 2022/03/31更新
経営管理に役立つ知識を保有し、企業から求められる資格である日商簿記は日本商工会議所が主催しています。 簿記2級は、高度な商業簿記や原価計算を含む工業簿記を修得することで、財務諸表の数字から経営内容を把握し、企業活動や会計実務を踏まえて適切な処理や分析が出来るレベルを証明できます。
この記事では、簿記2級の学習範囲や勉強時間、合格率、近年注目されるUSCPAとの違いを解説します。
目次
簿記2級の合格率
簿記2級の勉強時間
簿記2級の学習範囲
簿記2級とUSCPAとの比較
簿記2級は希少性は低い!USCPAも選択肢に
簿記2級の合格率
簿記2級の合格率は2021年11月の統一試験では22,626名受験し、6,932名が合格しており、合格率は30.6%です。
回 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
159(2021.11.21) | 22,626名 | 6,932名 | 30.6% |
158(2021.6.13) | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
157(2021.2.28) | 35,898名 | 3,091名 | 8.6% |
156(2020.11.15) | 39,830名 | 7,255名 | 18.2% |
154(2020.2.23) | 46,939名 | 13,409名 | 28.6% |
153(2019.11.17) | 48,744名 | 13,195名 | 27.1% |
152(2019.6.9) | 41,995名 | 10,666名 | 25.4% |
151(2019.2.24) | 49,766名 | 6,297名 | 12.7% |
150(2018.11.18) | 49,516名 | 7,276名 | 14.7% |
149(2018.6.10) | 38,352名 | 5,964名 | 15.6% |
※155回は中止
参考:商工会議所
過去10回の最高合格率は2021年11月の30.6%であり、最低合格率は2021年2月の8.6%です。 合格率は試験回によって大きく変わりますが、基本的には難関試験になります。
簿記2級の合格基準は70%以上でありミスを少なくする必要があります。
簿記2級の勉強時間
簿記2級の合格に必要な勉強時間は250〜350時間と言われています。 この時間はあくまで簿記3級を保持している場合で、1日3時間の勉強で約3〜4カ月かかります。 簿記初学者が2級を目指す場合は更に時間が必要で、350〜500時間、約6〜8カ月をみておきましょう。
- 簿記3級レベルの方:250〜350時間
- 簿記初学者:350〜500時間
簿記3級を保持しているか、独学か通学・通信講座か、勉強の質によっても勉強時間は大きく変わるため、何時間勉強すべきかは一概に言えません。 独学で勉強する場合はスケジュール管理やテキスト選びが重要になります。
アンケートでは100~300時間未満が多数
簿記2級を取得した100人を対象にアンケートを取ったところ、100~200時間未満が32%と最も多く、次いで200~300時間未満が26%となっています。
勉強時間 | 割合 |
100時間未満 | 14.00% |
100~200時間 | 32.00% |
200~300時間 | 26.00% |
300~400時間 | 17.00% |
400~500時間 | 3.00% |
500時間以上 | 8.00% |
100~300時間未満の方が58%で約6割を占めており、多くはこの勉強量になりますが、300時間以上の方も約3割います。勉強手段やこれまでの勉強量によって変動しますが、やはり300時間程度の勉強時間は必要でしょう。
※アンケート概要(期間:2022年2月3日~2022年2月17日、調査方式:アンケート調査、回答数:100件)
簿記2級の学習範囲
簿記2級の学習範囲は「商業簿記・会計学」「工業簿記・原価計算」の2分野で構成されており、試験時間は90分です。
- 商業簿記:購買活動や販売活動等、企業外部との取引を記録・計算する技能
- 工業簿記:企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源の投入を記録・計算する技能
商業簿記では企業関係者である経営管理者や取引先、出資者等に対して適切で正確な決算書作成を行うためのもので、工業簿記は企業内部の経営管理に欠かせない知識です。
判定基準
簿記2級の試験では第1問〜第3問が商業簿記、第4問・第5問が工業簿記から出題されます。大問別の内容は公式には公開されていませんが、過去の傾向より以下の問題が出題されることが多いです。
- 第1問:仕訳問題(商業簿記)
- 第2問:論点問題(商業簿記)
- 第3問:本支店会計など(商業簿記)
- 第4問:費目別計算など(工業簿記)
- 第5問:原価計算など(工業簿記)
仕訳問題は取引の記録を正確に帳簿に記す問題で勘定科目を使って仕訳を行います。
論点問題では、連結会計・株主資本等変動計算書など様々な重要論点が出題される傾向にあり、本支店会計などでは財務諸表・精算表などを作成します。 工業簿記からは費目別計算や原価計算などが出題されます。
簿記2級とUSCPAとの比較
ここからは簿記2級と近年注目されるUSCPAを比較します。 USCPAは米国公認会計士資格で、キャリアアップに繋がる簿記と比較されやすい資格です。 USCPAは会計士資格の中でも世界で最も認知されており、 会計と英語を操れる人材として監査法人・税務業務等に留まらず多くのフィールドで活躍できます。
簿記2級とUSCPAを勉強時間や範囲、難易度や進路をそれぞれ比較していきましょう。
勉強時間・学習範囲
簿記2級の勉強時間は3級を保持しているか、独学かにもよりますが一般的には250〜500時間と言われています。
一方USCPAの資格取得に必要な勉強時間は一般的に1,200~1,500時間と言われており、1日当たり1〜2時間の勉強で、1年半〜2年かけて資格取得するイメージです。 勉強時間に関しては、USCPAよりも簿記2級の方が少ないと言えます。 USCPAの学習範囲は以下の4科目で構成されています。
- FAR:財務会計
- BEC:ビジネス環境及び諸概念
- AUD:監査及び証明業務
- REG:諸法規(税務、会社法)
1科目99点満点、75点で合格となり合格者の人数制限はありません。一度に全ての科目を受ける必要がないため、受験の時期を科目ごとに選択することができます。 USCPAの出題形式は選択問題と記述問題で、全て英語で出題され・解答する必要があります。
簿記2級の科目である商業簿記はUSCPA科目FAR、工業簿記はBECと勉強内容が重複しています。
難易度・合格率
簿記2級の難易度は過去10回の最高合格率は2021年11月の30.6%であり、最低合格率は2021年2月の8.6%です。 一方でUSCPAの平均科目合格率は、日本在住者で41.2%(2019年)と3人に1人以上が合格しています。
受講生は社会人が多いのが特徴で、仕事やキャリアを継続させながら合格を目指しています。 合格率の面ではUSCPAの方が合格しやすく感じますが、実際には勉強量や出題範囲の広さからみて難しいとされています。
USCPAの難易度に関するさらに詳しい情報はこちら
就職・転職先の違い
学生や経理未経験の方や日本の一般企業での就職を考えている場合は、簿記2級の方が認知度が高く、有利に働くでしょう。 USCPAは年収水準が高いグローバル企業や外資系企業に有利に働く資格で、活躍するフィールドが広く、国内外での幅広い業種・職種への就職・転職で有利に働きます。
具体的には以下のようなグローバルキャリアにつながる就職・転職先があります。
- 監査法人
- 税理士法人
- 事業会社の財務・経理
- コンサル企業
USCPA取得者は監査法人に限らず、一般企業での経理・財務、CFO・CEOなどのトップ・マネジメントを含めた幅広いポジションで活躍しています。 国内外問わず幅広くグローバルな業種に就職・転職をしたい場合はUSCPAは有利な資格でしょう。
実務経験+USCPAという合わせ技が年収やキャリアップに繋がります。 実務経験の少ない若い方もキャリアチェンジとしてUSCPAは有効です。
USCPA取得後のキャリアに関するさらに詳しい情報はこちら
USCPAと簿記2級を比較したさらに詳しい情報は下記の記事をご覧ください。
USCPA(米国公認会計士)の前に簿記は必要?求められる会計知識とは
簿記2級は希少性は低い!USCPAも選択肢に
簿記2級での学習範囲や勉強時間、合格率、近年注目されるUSCPAとの違いを見ていきました。
簿記2級は企業規模や業種に問わず汎用性の高い資格です。 社会的認知度も高く、企業から最も求められる資格の1つであることは間違いありません。 その反面、簿記2級を取得したとしても実務経験がない場合は、就職や転職に有利に働く可能性が高くない点がデメリットです。
また人気資格であるため取得者も多く、特別感や希少性が低いことも。 経理の実務経験がある方や実務経験のない若手の方はUSCPAを選択肢に入れるのも良いでしょう。
\USCPAについてもっと知りたい方はこちら/
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米国公認会計士を取得するには英語の能力も問われ、1,200~1,500時間の学習が必要です。 これは資格専門校を利用した場合の時間で、独学でUSCPAを取得するには多くの時間がかかり大変困難です。
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